終戦間近、予備士官学校を卒業し赴任地へ向かう時のことです。前夜に神戸市内が空襲に遭ったため、私が乗った軍用列車は三宮駅で立ち往生してしまいました。被災してホームにいた老人がいきなり窓から首を入れてきて、「兵隊さん、仇を討ってくれ。仇を」と絞り出すような声で訴えるのです。車中の我々は一瞬シンとなった。もうその信頼に応える力はないことが分かっていました。(1ページ掲載記事から抜粋) *テキスト版記事の文字数:1315文字
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